コンデンサ用新規開発フィルムについて
信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:金川 千尋)の子会社である信越フィルム(本社:福井県武生市北府2−1−5 TEL
(0778)23-8066 営業所:東京都千代田区内神田1−5−13 TEL (03)3259-1061 社長:森
俊三)は、このほど、電子レンジに使われるコンデンサ用フィルム(通称オールフィルム製コンデンサ)を世界に先駆け開発した。
このたび開発したものは、誘電体材料にまったく紙を使用しないオールフィルム製油浸コンデンサ材料で、フィルムとしてはポリプロピレン(PP)フィルムを使用する。PPフィルムの持つ優れた電気特性を生かし、低コストで安定した特性を有するコンデンサ材料を実現した。
従来この種のコンデンサは、誘電体材料にコンデンサ紙とPPフィルムを用いた、いわゆるミックスタイプが主流であった。昨今の地球環境問題である温暖化防止に役立つ森林資源の保護のため、コンデンサ紙については、世界的に使用を低減する動きがある。また、昨年、国内ではコンデンサ紙の製造が中止され、各コンデンサメーカーではミックスタイプコンデンサの代替品であるオールフィルム製コンデンサの開発が望まれていた。
変電所や大中規模電気需要家で使用される電力用コンデンサにおいては、いち早くPPフィルムの低損失性を生かして、紙を使用しないオール(PP)フィルム製コンデンサが実用化されている。しかしながら、電子レンジ用コンデンサをPPフィルムのみで製造しようとしても、寿命試験後*1の直流絶縁破壊電圧*2が規格値を満足できず、この開発が取り残された格好となっていた。
信越フィルムでは、この問題に対して、使用するPPフィルムの油浸特性を最適化し、さらに新たなコンデンサの製造技術を組み合わせることにより、オールフィルムコンデンサのネックであった寿命試験後の直流絶縁破壊電圧特性の向上に世界で初めて成功した。
信越フィルムではもともと誘電体材料であるPPフィルムをコンデンサメーカーに供給していた。電子レンジ用コンデンサのオールフィルム化の開発が思うように進まない現状をみて、工場内に自前のコンデンサ試験・評価設備を導入し開発を進めていた。
電子レンジ用コンデンサは、現在年間2000万個以上フィルム換算で1000トン、数億円規模の市場がある。最近では中国での生産が爆発的に伸びてきていることから成長が期待されており、同市場を含めて、その1/2の年間500トンの拡販を目指す。
*1.[室温〜80℃]のヒートサークルを2回行った後、85℃下に連続荷電(2,625VX500時間)を行う。なお、2,625Vは定格電圧(2,100V)を1.25倍した値である。
*2.定格電圧X4.3倍、9,030V以下でパンクしないこと。 |
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